2007年07月19日

お茶のんで 百を楽しむ 人となれ

「お茶のんで 百を楽しむ 人となれ」。



これは、今年(平成19年)2月7日に、仁淀川町にあります高知県の茶業試験場を訪問したとき、昔の茶畑の風景写真(津野町宮谷)と一緒に書かれていた標語であります。そして、その上には明治33年12月30日高等小學校國語科児童用教科書文部省検定済「高等國語讀本 巻一」と印刷された昔の教科書の複製がありました。そこには、昔のお茶の製法や風味についての記述がありました。

今回、「土佐のお茶」について研究することになりましたが、座長である私自身は、お茶については全くの素人です。正直な話し、私は生まれた時からあまりお茶を飲んだことがありませんでした。家族がみな飲まなかったというのではなく、私だけが飲まなかったのです。大きなやかんに入ったお茶(番茶)が、毎日、食卓にはあったのですが、食事の最中も、食事が終わってからも、お茶を飲んだことがあまりありませんでした。やっと、中学生になったころ、「大人の味」ではないですが、「お茶漬けの味」というものを覚えました。それまでは、お茶を飲まなかったので、お漬け物というものも、ほとんど食べたことがありませんでした。お茶は、やはり何かと一緒にあるものだと思います。お茶うけです。お茶を飲まなかった最大の理由ですが、一言でいうと多分「美味しいものだとは思えなかった」からだと思います。子どもの頃、生家(現在は兄の家)の裏にある畑には何本かのお茶の木がありました。昔は、土地の境(となりとの境界)を決めるために、お茶の木や桑の木を植えていました。時には石(境石)を置くこともありましたが、境界の目印として何を植えるかは、やはりその土地、その土地での決めごとがあったと思います。お茶の木が選ばれた最大の理由は、お茶の木は何年たっても巨木とはならず、また枯れてなくなるとこもなく、他人の土地との境界をきめる目印としてはうってつけであったからだと思います。さらに、お茶として飲むこともできます。私が住んでいる家(この原稿を書いているコテージ)の前にも、70年ちかくも生きのびている老木のお茶の木があります。老木とは言っても、お茶の木はまだまだ小さいままです。大きさは1メートル四方もありません。小さな枝が長く延びていますが、枝の先の方に少しだけ茶葉つけているだけで、きれいな茶畑にあるお茶とはまるで雰囲気がちがいます。これこそ、まさに放棄茶そのものです。毎年、春になっても新芽がでずに、小さな、堅い、真っ青(深緑)な葉っぱを少しだけつけています。たしかに、手のひらにのせて揉むと、お茶の香りがしますが、すこし生臭く、苦そうな香りです。

お茶を好きになれなかった理由は、私がまだ小さかったころ、食卓で初めて飲んだお茶が苦かったからです。畑にあったお茶の木から、枝ごと切りとってきて、鉄製の鍋の中で焙じただけの、まさにワイルドな風味のお茶だったからだと思います。「にがい!!」、人生も中半を過ぎたいまであれば、「渋み、苦みも風流」と感じますが、この世に「おぎゃー」と生まれてきて、まだ一度も「まずいもの」(味覚に抵抗のあるもの)を経験したことのない子どもにとっては、最初の体験はやはり一生の方向性を決めるものであったのかもしれません。人生の早い段階でこれらを克服できるのであれば良いのですが、まだ幼い子どもにとっては「抵抗があるものからは逃げるが一番」であり、結果として好き嫌いが発生することになります。お茶を好きになるかどうかの重要なポイントは、ここのあたりにあるのかも知れません。それは家庭における食生活環境にあるのかも知れませんし、地域社会の環境、いわば地域の風習・習慣、文化にあるかも知れません。「土佐のお茶」を見なおそうとするとき、ここが一つのポイントになるのではないかと考えています。

「お茶のんで 百を楽しむ 人となれ」。

この標語を見たときに、背筋に電流が流れる想いがしました。お茶を飲むことは、やはり健康にとっても良いことだと思います。お茶には色々な効用があると思います。口の中を殺菌してくれるでしょうし、身体に良い成分も含まれているようです。この標語は、お茶を飲むことによって百歳まで生きることも夢ではないということを語っている同時に、お茶をたのしむ(たしなむ)という場面(機会=心の余裕)を作ることによって、生活に関係する色々なことがよく理解でき、やはり人生を楽しむことにつながるのではないかと言っているように思えます。お茶という「題目」(課題)で、百の楽しむ「項目」を作れる人間になることも、重要なことではないかと思います。

いま、「土佐のお茶」産業は衰退しているのかも知れません。しかし、この状況に単純に対処するだけでは衰退にはどめをかけることはできません。やはり「土佐のお茶」のもつ意味、土佐の文化から見たお茶の意味などを、さまざまな関係性の中から考え、土佐に住んでいる私たちみんなで理解し、共有することが、「土佐のお茶」にとっては新たな原動力となり、しいては産業活性化の方策にもつながると考えています。そういうスタンスで、私たちは「土佐のお茶」研究をスタートさせたところです。

「土佐のお茶」に親しむ環境、文化を如何につくるか。
「土佐のお茶」栽培(産業)を維持・発展させるためには何が必要か。

これが、「土佐のお茶」研究の課題だと思います。
お茶をたてるには、水も重要ですし、場(雰囲気)も重要です。そして、お茶うけのお菓子なども重要だと思います。色々なものが関係しあってのお茶文化なのです。


「土佐のお茶」研究会
昔から、土佐のお茶は最高の品質でした。特に、仁淀川町(旧仁淀村、吾川村、池川町)のお茶は最高ですが、原料は静岡に送られて静岡茶ブランドで世の中に出ています。仁淀川町のお茶が素晴らしい理由は、昼と夜との寒暖差が大きく、仁淀川から上る霧がお茶の栽培(品質)に適しているからだと思います。しかし、急峻な地形に植えられているお茶は、高齢化が進む町にとっては、維持・管理が難しい状況にもなっています。維持していくためには、新たな仕組みをつくらなくてはなりません。仁淀川町だけでなく、大豊町の碁石茶、四万十のお茶などもあります。「土佐のお茶」研究会では、生活・文化の中でのお茶の役割、お茶の特性、「土佐のお茶」ブランド化などについて、俯瞰的・総合的に研究を始めました。昨年12月より毎月、「まちの駅」(高知市帯屋町2丁目20番地)で研究会を開催しています。研究会で議論された内容は、毎回の『土佐学協会ニュースレター』で紹介しております。また、土佐学協会理事長・竹村昭彦さん(司牡丹酒造株式会社代表取締役社長)が主宰するブログ「口は幸せのもと!」でもご覧いただくことができます。ブログでは、研究会のことだけでなく理事会のようすなども詳しく紹介されています。
完ぺきなまでの「土佐弁」ですが、是非、ご笑覧ください。
「口は幸せのもと!」http://blog.livedoor.jp/tsukasabotan/










研究には共通概念が必要
何ごとも、机の上で議論するだけではなく、自分自身の目で確認し、頭で考えてみることが重要であります。みんなで一緒に研究するためには、その前提となる言葉(概念)の定義や意味を共有しなくてはなりません。言い換えれば、コモンセンス(共通感覚・共通概念)がなくてはなりません。研究に参加している人々が同じ言葉(単語)を使っていても、各自の持つイメージが違っていたのでは、確かな結論に達することはできません。
これは研究の場だけではなく、地域社会においても同様であると思います。「土佐のお茶」に関する研究は、始めてまだ3ヶ月ほどです。議論していて感じることは、まずお茶の種類や分類、全国の茶生産地と茶の呼称(銘柄)などについて各自バラバラのイメージだったことです。これをまず統一することが、研究会の大きな役割であると思います。是非、みなさんも後半にあります「資料」を参考にしていただき、お茶についての共通概念をもっていただければと思います。今回、株式会社あさみや、あさみやマーケティング株式会社の『お茶辞典』を参考にさせていただきました。非常にわかりやすくまとめられています。静岡や京都にある多くのお茶関係の会社や組織では、「お茶の種類」などについてホームページ上で情報発信されています。高知県では、残念ながらこのような情報を見つけることができませんでした。このような情報発信も、やはり重要ではないかと思います。

最近は、便利な時代となりました。インターネットで検索すると、いとも簡単にさまざまな情報を入手することができます。自宅に居ながら、世界中の情報を集めることができます。しかし、便利な時代であっても重要なことは、情報を自分自身の頭で吟味するということです。情報を、そのまま鵜呑みにすることには問題があります。やはり、色々な情報を吟味し、見極めることが重要であります。後半の「資料」にあります、お茶に関する情報リンク集をもとに、ぜひ皆さん自身で「土佐のお茶」について何が重要であるかを考えていただければと思います。是非、是非、考えてみてください。このような作業が、「土佐のお茶」を元気にする原動力になると考えています。この作業を、小さな子どもたちにも是非おこなってもらいたいものです。「土佐のお茶」に関する研究も、まだまだ始まったばかりです。これから、更なる吟味が必要であると考えております。これらの内容を、次世代をになう子供たちに伝えていくことも重要な課題であります。その仕組みも、作らなくてはなりません。

机上の議論だけではなく現場も見る
インターネットで色々な情報を入手できる便利な時代になったとはいえ、やはり重要なことは現実の世界(現場)を自分自身の目で見て確認することであります。「土佐のお茶」研究会でも、2月7日(水)に、現地調査をおこないました。仁淀川町役場や、茶業試験場、佐川町役場などを訪問し、聴きとり調査をおこないました(参加者:竹村昭彦、大野加惠、水谷利亮、坂本世津夫)。
やはり現場にでむくと、お茶に関する色々な情報が山のようにでてきます。詳しくご紹介はできませんが、昭和62年11月に発行されました『土佐茶百年』(発行者:高知県茶業振興会)という資料には、土佐の茶業に関する詳細な歴史、とりくみが紹介されています。この資料は、土佐の茶業を知るうえで非常に参考になります。
茶業試験場の場長である木村和彦さん、主任研究員の邑田修三さんからは、土佐のお茶に関するさまざまな状況をご説明いただきました。煎茶と番茶など、お茶の種類の違いなどもご説明いただきました。そのあと、試験場内の茶工場や農園(茶畑)を見学させていただき、新たな苗の育苗の状況などもご説明いただきました。
仁淀川町教育委員会の大野敏光教育長さんからは、「花ばん茶」のヒントをいただきました。大野教育長さんの話によると、お茶は4月末頃から5月初旬にかけて一番茶をつみ、その後二番茶、三番茶をつんで、秋に花が咲く頃に番茶用の茶つみをおこないます。その時、茶花も一緒につんだものを「花茶」と言っていたそうです。つんだお茶は、各家庭の釜で焙り、沸騰させた鉄茶瓶の中に入れて番茶として楽しみますが、その年に飲みきれなかったお茶の葉は保存しておいて(かってに残っていただけなのかも知れませんが)、2年もの、3 年ものにして、飲む前に再び焙って楽んでいたそうです。これには、何とも言えない風味があったそうです。
仁淀川町役場では、農林振興係長の西森昌さんとJAコスモス吾川支所長の渡辺徹さんからお茶の生産状況(お茶産業の現状と課題)について、いろいろとお話しをお伺いました。お茶生産農家の高齢化と後継者不足ではこまっている状況にあるようですが、意外なことに「放棄茶園」は少ないということでした。仁淀川町は急峻な地形であるため、お茶以外にこれといって栽培品目がない状況です。人々はやはり先祖伝来の茶園を大切にしているのだなと感じました。

佐川町役場では、産業振興課長補佐の下川芳樹さんと和田剛さんからお話しをお伺いしました。佐川町の場合は、仁淀川町と違い放棄茶園がどんどん増えいっている状況だそうです。佐川町は、茶園以外にも水田などがある関係で、茶園を放棄する人が多いとのことでした。
 また、仁淀川町では、栗田桂子さん(高知大農学部森林科学科卒業)という東京生まれ横浜育ちの女性がお茶作りに励んでます。Iターンの女性です。茶業試験場、木村場長のもとで1年間の研修を受けたそうです。「いろどり事業」(葉っぱビジネス)で有名な徳島県上勝町でも、Iターンの若者たちが中山間の活性化にとりくんでいます。若者たちにとって重要な、情報通信環境の整備がすすめば、中山間への若者流入も可能になると思います。現在、総務省四国総合通信局においてもブロードバンド環境整備などについて色々ととりくみを進めています。


お茶の種類

伊藤園「お茶百科」
http://ocha.tv/varieties/
マルミヤ製茶「お茶の種類」
http://www.marumiyatea.com/syurui.html
株式会社あさみや、あさみやマーケティング株式会社「お茶辞典」
http://www.asamiya.co.jp/tea_cat.html
藤木翠香園「お茶の種類」
http://www1.odn.ne.jp/~cbo95210/fujikisuikouen/otyanosyurui.htm
お茶の鳴嶋園「お茶の種類」
http://www5b.biglobe.ne.jp/~tea/kind%20of%20tea.htm
京都宇治の産地問屋・芳東園「お茶の種類」
http://www.hotoen.com/syurui.htm
やなどり茶舗「お茶の種類」
http://www.e-ocya.com/pe-ji/ocha_syurui.html
お茶の大和HP「お茶の種類」
http://tea-yamato.jp/ryokutyatoha.htm
株式会社あさみや「お茶の種類」
http://www.jade.dti.ne.jp/~asamiya/SYURUI.htm


社団法人静岡県茶業会議所「お茶の種類」
http://www.wbs.ne.jp/bt/chacha/
http://www.wbs.ne.jp/bt/chacha/main/qa_syurui.htm
株式会社 春芳茶園「お茶の種類」
http://www.syunpou.com/syurui.html
茶 小松園「お茶の種類」
http://www3.tokai.or.jp/komatsuen/chanosyurui.htm
(有)茶道楽「お茶の種類」
http://www.kbs.co.jp/tea/school/syurui.htm
メイド・イン・静岡「お茶の種類」
http://www.pref.shizuoka.jp/madein/tea/020.htm
財団法人世界緑茶協会
http://www.o-cha.net/


全国の茶生産地と茶の呼称(銘柄)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~k-hokuto/cha/saibai.htm
http://www3.tokai.or.jp/maruzen/newpage27.htm
http://www.saronjin.jp/nmcha/sanchi/sanchi.html
http://homepage2.nifty.com/chapa/tko/sanchi.html

土佐茶
http://shokusan-kochi.jp/story/200606.html
http://shokusan-kochi.jp/kigyou/kaorien.html
http://www.rakuten.co.jp/gintengai/613219/716902/716904/
http://www.attaka.or.jp/tosa_shoku/c1.html


碁石茶
http://www3.synapse.ne.jp/hantoubunka/minzoku/02.21.htm
http://www.you-wing.co.jp/goishicha.html
http://www1.quolia.com/yumekubo/goisicya/goisi.htm
http://www.kenkoshop.jp/goisitya/index.html

土佐番茶
http://www.rakuten.co.jp/chokuhan/478901/479469/
http://www.rakuten.co.jp/mock/484069/
http://www.o-cha.net/japan/teacha/detail_j.asp?id=93
http://www.rakuten.co.jp/chokuhan/478901/
http://www1.cts.ne.jp/~imaien2/misuzu.html
http://www.kuroshio-net.jp/matsuda/index.php?itemid=233
http://www.o-iiocha.jp/tayori/20040420.htm
http://dorinku.srumbrand.com/5-6-9.html

阿波番茶
http://www.shochian.com/awacha.htm
http://www1.quolia.ne.jp/~moon/jidencha.html
http://aiironet.com/tea/awa.html


茶の花
http://homepage3.nifty.com/bazenu/cha.htm
http://www.e-ds.jp/ecodata/hanagoyomi/hana_deta/cha.html
http://www.cosmos.ne.jp/~yanbaru/hana.04.02.html

高知市歴史散歩
http://www.city.kochi.kochi.jp/deeps/01/0104/rekishi/index.htm
一豊と土佐茶(一)-高知市広報「あかるいまち」2006年8月号より-
http://www.city.kochi.kochi.jp/deeps/01/0104/rekishi/re0608.htm
一豊と土佐茶(二)-高知市広報「あかるいまち」2006年9月号より-
http://www.city.kochi.kochi.jp/deeps/01/0104/rekishi/re0609.htm
徳増屋と青茶の出現-高知市広報「あかるいまち」2004年11月号より-
http://www.city.kochi.kochi.jp/deeps/01/0104/rekishi/re0411.htm
茶の伝来と碁石茶-高知市広報「あかるいまち」2003年7月号より-
http://www.city.kochi.kochi.jp/deeps/01/0104/rekishi/re0307.htm


Posted by 坂本世津夫 at 06:32│Comments(3)TrackBack(0)

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http://sakamoto.moeruhito.com/t350
この記事へのコメント
前略 はじめまして
 お茶の大和のHPとリンクしていただいて有難うございます。私も、こちらのHPとリンクさせてもらいました。

 表示されている
URL:http://www1a.biglobe.ne.jp/tea-ymt/ryokutyatoha.htmは、現在使用していませんので、お知らせします。

 現在使用しているURLは、下記のURLです。

http://tea-yamato.jp/ryokutyatoha.htm

インターネットやHPの素人が、勝手なことを書いていますが、これからもよろしくお願いします。     早々
Posted by お茶の大和 at 2008年09月27日 13:54
お茶の大和 様

いつもお世話になっております。

URLの件、ご連絡をありがとうございました。

リンク先、変更させて頂きました。

これからも、何卒、宜しくお願い申し上げます。


なお、土佐学協会の年報にも、土佐のお茶に関する内容があります。
是非、ご覧いただければ幸いです。


http://tosagaku.cocolog-nifty.com/

ありがとうございました。
Posted by 坂本 世津夫 at 2008年09月29日 14:33
リンク先を、変更して頂き有難うございました。
“土佐学協会の年報”お気に入りに登録してゆっくり読みます。これからもよろしくお願いします。
Posted by お茶の大和 at 2008年10月04日 12:54